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    ボリス他「NPOと政府」を読んで、多様性と共通基盤のバランスを考え続けることが大事だと思った



    上野真城子さんにお会いするので関連本を読もうと思って。また、「市民政策」の原稿の参考にもなるので。

    本書は上野さんが勤めていたアーバンインスティチュートが中心になってまとめたもの。アメリカでは1999年に出版されている。それを上野さんと山内直人さんというNPO業界の重鎮が翻訳し2007年に出版。アメリカでは2006年に改訂版が出されたそうだが、それが反映されてないのが残念。

    1部である序章〜1章は概説。本書でのNPOは、内国歳入庁に登録されている非営利組織の内、慈善団体と社会福祉団体が中心とのこと。また、1章では政府とNPOの関係が、相補か、補完か、敵対かということを歴史的観点から見ている。結論としては3つの概念レンズを通して関係を見ることが必要、とのことだった。

    2部である2〜5章は資金について。2章はNPOセクターの資金、3章は連邦予算におけるNPO予算の動向、4章は寄付控除や税免除、免税債などのNPOの税措置、5章は政府によるNPOへの資金供給。データが中心なのでそれが古いことが残念。

    例えば、CDC(コミュニティ開発機関)への連邦政府助成が1980年度に比べ97年度は1%減少したとのことだが、その後どうなったのかとか、CDCが住宅開発する上で重要なツールであるLIHTC(低所得者住宅税クレジット)が、サブプライムローン問題後、どうなっているのかとか、知りたいところ。

    3部である6〜9章は公共政策との関係。6章は地方分権がNPOにもたらす影響、7章は営利転換するNPOの事例やその意味について、8章は価値観について、9章はアドボカシーについて。

    そして4部は10章のみで、レスター・サラモンによる国際比較。たぶん以前、見たことがある。これもデータが古いのが残念。

    で、本書では8章が面白かった。法改正により宗教団体が社会福祉サービスの担い手になるチャリタブルチョイスという制度ができたことや、全米芸術基金への政府補助金の削減を例に、宗教や芸術という価値観に関することに対して、NPOがどのような存在意義を持つのか、また、それに資金支援する政府の位置づけが書かれている。

    例えば、社会問題に対し明確な立場をとり、政策策定者に圧力をかける「特殊利益団体」がNPOに占める割合が増えていること、それによりNPOは市民社会を形作る存在というより、分断するものと見なされつつあること、一方で、「中央集権+標準化」vs「地方分権+多様性」という図式の中で、これを調停する役割をNPOが持っていること、などが書かれている。

    多様性は大事だが、行き過ぎれば共通基盤がなくなり分断を招く、また、地域の多様性を偏重すれば、ナショナル・ミニマムが確保しづらくなる、その中で、NPOが、あるいは市民社会がどうバランスをとっていくか。時代に応じてみんなで考え続けることが大事だと思った。


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    Author:ksatani
    佐谷和江と申します。都市計画・まちづくりの仕事をしてます。
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