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    シャロン・ズーキン「都市はなぜ魂を失ったか」を読んで、まちの「らしさ」をどう維持創出できるかを、ちょっと整理できた



    前に山形浩生さんのブログを読んで読みたかった本。

    この本は「オーセンティシティ」を守るべし、と書いてある本だが、山形さんは「彼女はそれをまともに定義できないくせに、もうそれだけで議論をすすめ…」と書いてたけど、それには同感。

    でも、読み終わるころに、これは「らしさ」に意訳するとピンとくるな、と感じた。日本でも「横浜らしさ」とか「逗子らしさ」とか。「らしさ」を住民も行政も求めていて、我々都市計画コンサルタントに解明してもらいたいと思っているし、私たちも計画する時に尊重したいと考えているものである。しかし、その正体はばくぜんとしている。で、以下、「らしさ」問題に着目した感想。

    1章は「ブルックリンはどのようにしてクールの場所になったか」。ウィリアムズバーグ地区という昔の工場・倉庫街のジェントリフィケーションの過程が書かれている。「らしさ」として「荒涼さ」を上げているが、う〜ん、これを軸にするのはキツイと思う。

    2章は「ハーレムはなぜゲットーを脱したのか」。1990年のクリントン政権下で、福祉から市場形成にシフトし、ハーレムへの投資が強化され、アッパー・マンハッタン・エンパワーメント・ゾーンという制度ができた。ここから95〜06年に3億3500万ドルが助成、融資、債権として投資されたそうである。ハーレムの「らしさ」は「黒人」であり、それは変わらないが、中間層の黒人による低所得層の追い出しがおこっているようだ。

    3章は「イーストビレッジで地元に住む」。ここの「らしさ」は「ヒッピー、反対運動、多様性への寛容性さ」のようだ。で、一部で高級化しているらしい。また、レストランやマーケットが増え、観光地化(Destination Cultureの私の意訳。翻訳では目的地文化と直訳してるけどピンと来ないので)しているようで、著者はそのことをことを危険視している。

    4章は「ユニオンスクエアと公共空間のパラドックス」。ユニオンスクエアがBID(business improvement district)となり、ユニオンスクエア・パートナーシップという民間団体が管理するようになり、「清潔・安全・予測可能」になったが、民主的な空間は予測不可能な危険性をはらんでいるからこそ意義があり、それを取り戻すべし、という意見。BIDについては反乱する都市でも否定的だった。日本ではBIDは肯定的に紹介され、私も肯定的だが、「らしさ」を創りだしていないのだろうか?

    5章はブルックリンにあるレッドフック地区について。イケアと移民の食べ物屋台組合の比較。著者はもちろん屋台組合に肯定的で、市から公園の使用許可入札に参加するよう要求された時、法人化して乗り切ったし、多くの市民がブログなどでそれを応援したことが書かれている。

    6章はコミュニティガーデンと屋外公告について。コミュニティガーデンは、70年代のグリーンゲリラから始まり、「らしさ」を備えているとして順調に広がったが、94年のジュリアーニ市長時代に管理の市への移管や売却が始まり危機に瀕した。しかし、ブルームバーグ市長が、約500を存続、100をアフォーダブルハウス等に、100を保全系の民間財団に売却すると整理し、息を吹き返したようである。著者は土地を「脱商品化」したことに意義があるとしている。

    一方、屋外広告については、タイムズスクエアが象徴するように加速化し、バスのラッピング公告や公園のブランド企業への貸出などにも広がっているとしている。

    終章は、観光地化と「らしさ」の危機について。「1980年代以降都市が内包してきた権力構造は、“消費”と“自由の抑制”を兼ね備えている」というのがこの本で言いたかったことのようだ。また、それはニューヨークに限らず、多くの都市で起こっているとも指摘している。

    「らしさ」は、「地域の成り立ち、自由さ、住民の創意工夫、脱商品化、脱観光地化」によって維持・創出されるということかな〜。脱商品化、脱観光地化あたりはバランスだと思うけど。

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    ksatani

    Author:ksatani
    佐谷和江と申します。都市計画・まちづくりの仕事をしてます。
    http://www.kgk-net.co.jp/staff/satani.html
    satani(@)kgk-net.co.jp

    まち活動のブログも書いています。
    http://ksatani.cocolog-nifty.com/blog/

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