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    後房雄「 NPOは公共サービスを担えるか」を読んで、包括的事業委託はよさそうだけどアドボカシー機能があるか調べてみたいと思った



    以前に読んだ田中弥生さんの「市民社会政策論」(2011)で取り上げられていた本。2009年発行。

    本書は、 NPOが公共サービスを担うべきという立場から、また、イギリスのボランタリー団体経営者協会をモデルとした日本サードセクター経営者協会(JACEVO)を推進する立場から書かれている。

    これまでの論文を再編集している本で、3部構成であるが部としての構成はあまり明確でない。

    1章ではグローバルな公共経営革命とアソシエーション革命が起こっているという指摘。また「民間企業主導の自由主義的改革」と「市民社会が存在感をもつ自由主義的改革」が競いあっているとも指摘している。

    2章ではアメリカのクリントン政権における「行政改革」の内容を紹介。「アントレプレヌール型行政」が提起されたそうである。また、日本の志木市の地方自立計画や東海市のまちづくり指標も紹介されている。

    3章はアメリカにおける政府ーNPOの関係の変遷。面白かったのは1977年のアメリカの国勢調査によると正規職員が0の市町村が4,424あるということ。日本とは地方自治体のあり方がかなり違っている。またアメリカ連邦政府・政府間関係諮問委員会による、公共サービスの「決定」と「創出」を区別すべきだという考え方を紹介することを通して、著者の公共サービス提供者としてNPOの必要性を補強している。

    4章は日本における公共サービス改革について。日本の政府は量的には小さかったが、外郭団体や民間団体を「手足」として活用することで「大きな政府」としての役割を果たしてきたという指摘が面白かった。また、これまでは福祉の「措置制度」のように、政府が一方的に様々な決定を行う制度であったが、1997年以降、費用は公的に保障しながら、民間の多様な供給主体の競争と利用者の選択権を導入した「準市場」(バウチャー)のメカニズムを採用しているということも面白かった。介護保険などで知ってはいたが、あ〜、バウチャーと同じなんだと改めて気付かされた。

    また、準市場や指定管理者制度、市場化テストなどによりNPOが公共サービスを担うチャンスが大きく開かれたが、分野ごとに準市場などのシステムがバラバラであり、それに対し、NPO側がまとまって意見をいう体制がとれていないことが問題だと述べている。

    5章は委託について。NPOが委託を受ける場合、「NPOの自律性と政策のアカウンタビリティーのバランス」が核心問題だとしている。またNPOにとっての事業委託の利益と不利益についてのガッチやスミス&リブスキーの分析や、自律性維持のための戦略としてレカートが上げていることを紹介している。さらに、日本のNPOへの調査結果や、多治見市の補助事業、愛知県の委託事業、神奈川県の協働事業負担金、大阪府のNPOからの企画提案型事業を紹介している。

    6章は、NPOはもっぱらボランティアと民間寄付に依拠するべきという「ボランタリズムの神話」の批判。具体的には田中弥生さんの「NPOが自立する日ー行政の下請け化に未来はない」という本を批判。また、理念的協働についても批判している。そして「包括的事業委託」という実施過程においてはNPOに裁量権を与え、行政は事業の成果を監視し、報酬を成果に連動させる方式が望まれるとしている。また、フルコストリカバリーが重要だとしている。

    田中さんと後さんの話は、細かくみれば批判すべき内容なのかもしれないが、私としては寄付・会費中心のNPOも公共サービス提供中心のNPOも存在していいと思うので、批判しあってもな〜、という感じだった。

    終章では、イギリスのコンパクトを詳しく紹介しつつ、コンパクトのような政府とNPOセクターの「合意型文書」をつくるには、NPOを組織化しないといけないので、日本サードセクター経営者協会(JACEVO)が必要なんだよ〜という話。これは同意するが、そのためにはNPOセクターが分裂しないようにしなきゃ。

    私は浦安市の市民参加推進会議のメンバーで、近々協働事業提案制度の評価をやるので、その点に注目して読んでいた。後さんは協働事業提案制度は過渡期的で、包括的事業委託が望ましいとしている。私は協働事業提案制度は、新規の施策を提案したり、既存の施策を改善するアドボカシー機能を内蔵させているのがキモだと思っているが、それが包括的事業委託でできるのかどうか。これについては書かれていなかったので、もう少し包括的事業委託イメージ(イギリスではやっている?)を調べてみたいと思った。

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    Author:ksatani
    佐谷和江と申します。都市計画・まちづくりの仕事をしてます。
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