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    今瀬政司「地域主権時代の新しい公共」を読んで、核的公益活動とゆるい公益活動の関係を考えたいと思った



    「市民政策」についての原稿の参考本6冊め。こちらもNPO業界の有名人、今瀬さんの本。2011年刊行。

    今回書く予定の「市民政策」をまんべんなく取り扱っているという感じ。

    1章は、NPO政策として、NPO法の設立、コミュニティ・ビジネス支援策、中間支援組織の支援策の3つを紹介している。法制化の段階で、苦渋の選択で「市民性」より「非営利性」というモノサシを持ってきたのが現在まで尾を引いているという指摘は興味深かった。一部では伝説?になっているNIRAの「市民公益活動基盤整備に関する調査研究」からの法制化の流れを、近くて見ていた私から見ると非営利にはもっと前向きな意味もあったと思う。渦中にいなかったので、わからないところもあるが。

    また、田中さんが否定的なコミュニティ・ビジネスに今瀬さんは積極的で、前に勤めていた会社で、NPOの生産額推計を行うなど、NPOを経済主体として政策に位置づけることに尽力している。

    2章は協働について。協働に関する政策が形骸化しており、対等性や目的の共有などの「協働性の原則」に則ることや、委託から協働契約に転換することが必要であるとしている。協働契約のポイントとして、共に事業主体として位置づけ、権利や義務を対等にし、情報公開を原則とすることが示されている。事例としては上越市と神奈川県、また、かながわボランタリー活動推進資金21の協働事業負担金が紹介されていた。

    興味深かったのは、受託者に権利を帰属させる「日本版バイ・ドール制度」のこと。特許やソフトの帰属が中心らしいが、経産省では2008年から、国の利用は許諾した上で、成果報告書も著作権を受託者に帰属させている。これは国交省でもやってほしいと思った。(市民政策というより、私の本業のコンサルタント業務に関連してですが)

    3章は地域自治組織について。市町村合併の関連で行政主導でつくられた地域自治組織は、意思決定に関わってないこと、一元化されていることなどに問題があり、ネットワーク型の連携や、地縁組織とNPOと行政が協働で自治に取り組みことが必要としている。

    4章は公益の概念について。「公益」主体の行政でも個々人を見れば「私益」の部分をもつこと、それはNPOも同様であるし、一方、「私益」主体の企業も「公益」を目的とした活動を行なっていることを示している。また、真の公益活動を、「担い手一人一人が痛みを抱える人々の叫び声を聞き逃さず、きちんと向き合い対策の実行がなされること」と定義し、NPOや行政は公益力を高めるべきとしている。

    最後の5章は東日本大震災において、NPOが困った人を助けるという根源的な感情から動かず、行政の意向に沿った無難な対応をしていることを怒り、社会の求めに応じていかなければならないとしている。

    全体を通して共感するところは多いし、公益活動の定義も突き詰めればその通りだとは思うが、私が日頃関わっているまちづくりでの公益活動の定義はもっと幅広い。アートによるまちの魅力づくりや、緑や河川を守り、活かす取り組みなど、ある意味「ゆるい公益活動」かもしれない。それをどう位置づけるか。「核的公益活動」を「ゆるい公益活動」は邪魔しているのか??

    今回の原稿では書けないかもしれないが、持続的に考えていくべきことだと思う。
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    田中弥生「市民社会政策論」を読んで、エクセレントNPOの背景となる地域社会像が知りたかった



    「市民政策」についての原稿の参考本5冊め。NPO業界の有名人、田中さんの本で、いよいよ本丸に入ってきた感じ。2011年刊行。

    全体としては「NPOの本来のあるべき市民とのつながりを強化するために寄付とボランティアを増やすべき、だからエクセレントNPOという像や評価が必要」ということが繰り返し、手を変え品を変え書かれている。

    1章は、エクセレントNPOについて。日本のNPOセクターは市民とのつながりが弱いので、それを強化するためにエクセレントNPOという望ましい非営利組織像を基本条件や評価基準で示したとのこと。基本条件は3つあり、「市民性」「社会変革性」「組織安定性」となっている。エクセレントNPOという評価軸をもうけること自体はいいと思うが、「市民とのつながりが弱い」の「市民」とは誰なのかが、その後、ずっと引っかかる。

    2章はコンパクト(協働指針)について。2010年の「新しい公共」円卓会議の次の段階で、なぜ、日本版コンパクト(政府と市民セクター等の公契約等のあり方等に関する専門調査会)が優先課題になったかということに疑問を呈している。また、イギリスのブレア政権下で作られたコンパクトの機能や、その後の保守党政権であるキャメロン政権での「ビッグソサエティ政策」「強い市民社会構築」を紹介しつつ、日本型コンパクト議論の問題点を上げている。1998年のブレアのコンパクトは、1999年に博士課程に入ってドク論を書き始めた私にとっては刺激的だったし、2000年台は、各地の中間支援組織が「協働指針」をつくるべきと動いて締結したところも多かった。で、2010年の日本版コンパクトには、私も“今さら感”があった。

    3章はデータによってタイトルにある「市民との乖離」を述べているが、内閣府調査と独自調査の結果が入り交じっていて読みにくい。結論ありきの感じ。

    4章はソーシャル・ビジネス、コミュニティ・ビジネスについて。日本では経産省などでソーシャル・ビジネスやコミュニティ・ビジネス支援を重視しているが、これに異を唱えている。理由として、これらがエクセレントNPOと違って、事業収入を重んじていて対価性のないアドボカシー活動に積極的でないこと、寄付やボランティアという市民参加の機会を閉ざしていることを上げている。

    5章は民主党の「新しい公共」や小泉〜麻生政権でのNPO政策、認定NPO法人制度のレビュー。また、民・官と営利・非営利の2軸からなる公共領域の構図において歴代政権のNPO関連政策を示してる。そして「租税をベースにせず、市民が必要とする社会的サービスを決め、自発的に資源を出し合うことでそれを供給し、消費する領域」をより豊かにするべきで、政府はこの領域について何もしないほうがいいと言っている。これについては賛成!

    最後に補論として、エクセレントNPOの必要性や評価基準などを解説している。

    で、最初の「“市民とのつながりが弱い”の“市民”とは誰なのか」だ。

    確かに、1998年にNPO法ができた時に私が思い描いていた15年後は、日本版Community development corporationはもっとたくさんあって、市民セクターはもっと強くなっているはずだった。しかし、そうなっておらず、その一因はNPOが寄付やボランティアに消極的で内輪的であることだと思う。

    だが、既に5万近いNPO法人がある中で、NPO法人のもつ意味が変質しているし、ローカルガバナンスの担い手としてのNPO法人の位置づけも変わっている。エクセレントNPOはトップ500か、せいぜい5000(10%)に該当する概念ではないか。

    田中さんがどういう地域社会像、ローカルガバナンス像を描いていて、その中でNPOはどうあるべきか、に言及されているとよかったのだが…。そうすれば「市民」が誰かももう少し鮮明になったと思う。


    遠藤宏一他「現代自治体改革論」を読んで、“住民自治”を改めて考えてみた



    「市民政策」についての原稿の参考本4冊め。南山大学の関係者が分担執筆したもの。2012年刊行。3部構成で、1部が自治の仕組み、2部が財政、3部が公会計について。

    1部の1章は議会基本条例と自治基本条例について。議会条例が160、自治基本条例が140以上あるとのこと。この辺は得意分野なので既知のことが多かった。面白かったのは、憲法学的にはオーソドックスには「住民自治」を地方公共団体に住民意向を反映させることと捉えているが、いくつかの自治基本条例には、行政とは別次元のものと定義している例がある、との報告。私の定義では後者だが、でも前者を「住民参加」という追随的な言葉に押し込めることにも違和感があり、「住民自治」と呼んでもいいかと思う。概念整理は難しい。

    2章はNPOについて。これも得意分野なので既知のことが多かった。市川市が始めた1%支援制度を実施している8都市比較は興味深かった。

    3章は地区レベルの自治組織について。宝塚市の小学校区単位の協議会(20組織)と上越市の28の地域自治区の比較。設立経緯や組織・仕組みの外形は書かれているが、どう機能しているかをもう少し書いてほしかった。

    4章は政令市の区について。NPMで保健所など、以前は区に置かれてたものが全市に1つになっているところが多いそうだ。結論としては区への分権と財源委譲&ニューヨークのコミュニティ・ボードのような権限の強いコミュニティ組織が必要とのこと。大阪都構想的かな、と思うが文面からはこれには反対のようであった。

    2部の5章では地方交付税のことが中心に書かれている。その中で、一括交付金についても書かれていて、国の財政による「支出権力」を低下させているが、過渡期的で、一般財源化すべきとのこと。

    6章は総合計画について。2011年に基本構想の策定義務が廃止されたことにより、総合計画が変わっていくだろうとのこと。その辺はいいのだが、「内橋克人が提唱している“FEC自給圏”(フード、エネルギー、ケア)の形成を最低限の目標とすべき」というのは違和感強し。

    7章は財政健全化法について、3部の8章は公会計と監査の方法について、9章は水道などの公営企業の価格設定方法について、10章は予算と評価の関係、公会計との関係について書かれている。

    ということで、市民政策の原稿に反映させるとすると、23区における地区レベルの自治の仕組みを調べ言及する、ということかと思うが、そこまで広げるか検討中‥

    金泰昌「ともに公共哲学する」を読んで、ワークショップは活私開公のいい手段だと思った



    金さんが提唱した「活私開公」(cf.滅私奉公)は、私がドク論を書いてた時にとても刺激になった概念。当時(ゼロ年代前半)、公共政策学関連の本でよく引用されていた。

    この本は4部構成になっている。第2部の武田康弘さんとの往復書簡が読み応えあり。その他は講演録が中心。

    第1部は世古一穂さんや北川フラムさんなどがイベンターの講演録で入門編的。新しい造語がいろいろ出てきている。「グローナカルな視座」(グローバル×ナショナル×ローカル)、「公私共謀」、「幸福共創」など。

    第2部に登場する武田康弘さんは、我孫子市在住で「闘う哲学者」という感じ。主宰されている白樺教育館に一度、行ってみたい気もする。

    往復書簡では、以下のように「私」や「公共」について議論している。ハーバーマスや哲学カフェに通じる感じがした。
    ・日本でネガティブに捉えられている「私」から始めるべき
    ・日本の上位者は「私」の意見を持たいない・言わない
    ・自分の私と他者の私
    ・他者性の尊厳、同化や型・様式の否定
    ・公共する主体は市民
    ・生活世界の現場から考え・話し・行為する

    第3部は国家公務員研修の講演録と国会職員との書簡のやり取り。金さんは官に対して辛辣だが、ここではややソフト(当たり前ですが)。ガバナンス(共治)は「活私開公」と「公私共謀」を主軸とし、公務員は共働経営者の位相であるべしとのこと。概念的には新しくないが、四文字熟語の表現がウマい!

    また、上司への服従の悪しき例としてハンナ・アーレントの「イェルサレムのアイヒマン」を紹介している。アイヒマンはユダヤ人殺害の最高責任者だが普通の人が単に目前の命令に従っただけであり、その積み重ねが巨大な悪行につながる。これは誰でも起こし得るという「悪の凡庸性」をハンナ・アーレントは指摘している。

    第4部は、東アジアや日本の伝統思想から公共を考える2つのシンポジウムの記録。

    ということで、市民政策の原稿と公共哲学のつながりでは、ガバナンスのこともあるけど、参加の場を保障、というのも重要だと思った。まちづくりワークショップは、自由に話し、考え、議論する場であり、それが貴重だということを、アイヒマンの例だとちょっと重いけど、「活私開公」のとてもいい手段であることや、計画づくりなどの直接の目的だけが目的でないということを書けたらいいな、と思った。

    若杉英治「協働型事業における行政と市民との関係性」を読んで、創発が起こらない協働をテーマにしてることに違和感



    昨日と同じく「市民政策」についての原稿の参考本。大分市役所の職員である筆者の博士論文を本にしたもの。

    違反広告物の除去をテーマに、大分市とアメリカのフェニックス市、中国の武漢市で調査した結果を比較しているが、「協働型事業」の研究テーマとして「違反広告物の除去」を取り上げるのか〜ということに違和感を感じながら読んだ。

    「違反広告物の除去」が協働ではないとは言えないけれど、私が協働で重要と思ってる「創発」が起こりづらいテーマだと思う。実際に、創発については言及なし。

    3つの市の地縁型組織の現状やそれを担当する行政組織についての比較は面白かったので、「協働」という名前をつけずに研究すればもっと違った展開ができたのでは?

    私の原稿では「これが協働よ!」という面白い事例を紹介できたらなあと思った。

    初谷勇「公共マネジメントとNPO政策」を読んで、市民政策とローカルガバナンスやNPOの関係を整理しないと…



    本日より読書ブログ始めました。続くか心配。

    当分の間は、神奈川県外の「市民政策」について原稿を書くための関連本を読んでアップする予定。神奈川県外と言っても全国を網羅するのは私にはできないので、23区を中心に原稿を書こうと思っている。中心は市民活動支援で、それに、まちづくりセンターや都市計画マスタープランへの参加などのまちづくり関連の政策、コミュニティ政策などを補足して。

    この本は、初谷さんの前著「NPO政策の理論と展開」が2001年に出されたので、その後の10年について書かれている(2012年4月発行)。

    1部と2部に分かれていて、1部は基底的NPO政策、2部は派生的NPO政策を記述。

    基底的政策というのは、NPOを中心に捉えた政策ということで、公益法人制度改革について主に書かれているが、NPO支援への言及がないのはアレっと思った。

    公益法人制度改革によって増えてくる一般社団法人が市民公益活動のヴィーグル(器)として機能するのではないかという指摘は、その通りだと思う。

    2部の派生的NPO政策については、コミュニティ政策や図書館政策等に関連したNPO政策がどうなっているかを見たもの。

    杉並区が「地域共治とNPO政策」の例として上げられていた。協働条例、自治基本条例、民間事業化提案制度などがまとめられていて、原稿の参考になる!協働において一般社団などに比べ、NPOがアファーマティブ・アクションのように重視されすぎているという点は確かにそのとおりだが、まあ、過渡期的なものかもしれない。

    コミュニティ政策の例として出されていた東大阪市のリージョンセンター条例は面白そう。何かの機会に深堀り出来れば。

    また、「地域市民塾」という名前で社会貢献する人材育成についての章があり、すぎなみ地域大学、三鷹ネットワーク大学、かわさき市民アカデミーと並んで、我が江戸川総合人生大学が取り上げられていた。焦点は運営体制にあったので内容までは踏み込んでなかったが、当初想定されていたコミュニティ・アクションタンクのことも紹介されていて、何か新鮮な感じ。

    ということで、この本では地域共治と呼ばれているローカルガバナンスとNPOの関係、また、原稿のお題である市民政策とローカルガバナンスやNPOの関係を整理しないとな〜と思った。









    プロフィール

    ksatani

    Author:ksatani
    佐谷和江と申します。都市計画・まちづくりの仕事をしてます。
    http://www.kgk-net.co.jp/staff/satani.html
    satani(@)kgk-net.co.jp

    まち活動のブログも書いています。
    http://ksatani.cocolog-nifty.com/blog/

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